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2012-06-26 英国のブリストル・キャンサー・ヘルプセンター

アロマテラピーが、がん患者さんに対してどのように役立つのか、日本ではまだ十分に知られていないのが実情だと思います。
私がアロマテラピーをがん患者さんに提供しようと確信したのは、今から15年ほど前の1997年の夏、イギリスでの経験が大きなターニングポイントになりました。

当時、日本では「補完代替療法」という言葉も珍しく、精油やハーブなどは輸入されていましたが、病気の人に活用するという考え方はほぼ皆無で、
補完代替療法をおこなうセラピストが、病気の人に対してどのようにアプローチするのか、明確ではありませんでした。

IFA認定資格後、補完療法として先進国のイギリスの実情を知り、病気の人に対するアプローチを明確にしないと一歩前に進めないと思い、イギリスに滞在してイギリスで活躍しているアロマセラピストと行動を共にさせてもらったり、セラピーやワークショップを受けて過ごしていました。
親しい友人宅に居候をさせてもらっていたのですが、友人がロンドンから、特急で西に2時間ほどいったブリストルという街に出来たスパで働き始めたので、私もブリストルに移りました。

ブリストルには、がん患者さんのケアセンターとして、イギリスで最も革新的な施設である、ブリストル・キャンサーヘルプセンターがあることを知っていたので、さっそく電話をしました。

日本から来てブリストルに滞在していること、見学希望をお伝えすると、
「すぐに来なさい。あと1時間で私は出かけなくてはならないから。急いでね。」、と返事が返ってきました。

初めて話した方から、「すぐに来てください。」と言われたので驚きましたが、そのままタクシーに飛び乗り、センターに向かいました。幸い、施設はタクシーで5分ほどのところにありました。入口に掲げてある小さな看板以外は、少し大きめの普通の家という佇まいでした。

名前を告げると、「施設長がお待ちしています」と、施設長室に通され、電話口に出たセンター長のスー・ボイドさんという女性が笑顔で迎えてくださいました。彼女は看護師で、ブリストル キャンサーヘルプセンターを数十年にわたり支えてきた、と話してくださいました。
そして、2日後に、この施設を退職するとも。。。

第一声は、「とても良いタイミングに来ましたね」
一日遅れていれば、会えなかったかも知れません。

彼女は私に一つ一つの部屋を案内しながら、
イギリスで、「がん患者ケアとして革新的」と言われている『ブリストル方式』と呼ばれるガン患者さんとの向き合い方について話し始めました。

「ここは、がんを治すところではありません。がん患者さんがどう生きるか、
がんという病気を受け止めて、その人らしく生きていくことをサポートする場所です。」 

皆が一同に集まることのできる大きなホール。東の窓は大きく解放されていて、気持ちの良い風が入ります。ホールの隅の小さなテーブルの上には、お釈迦様、キリスト像、聖マリア様、モハメッド像、オショー、サイババなどの新旧の宗教家の小さな像が35〜40体ほど、所狭しに並べられています。

私が不思議そうに見ていると、
「ここでは、宗教は自由です。センターとしての宗教は問いません。がん患者さんが、ご自身の心が安らぐのであれば、私達はそれを尊重します。そのために、このテーブルの上には、様々な宗教家の像を並べているのです」と。

ブリストル キャンサーヘルプセンターは、最大で9名のガン患者が1週間の在して、がんと向きあうためのプログラムに参加します。
9名の参加者に対して、医師、看護師、臨床心理士(カウンセラー)、栄養士が主体となり、その他に日によって色々なプログラムが用意されています。例えば、カラーセラピーなど。
カラーセラピーなどの様々なセラピストが関わります。
個別対応として、アロマテラピーマッサージ、リフレクソロジー、指圧があり、参加者が希望すれば、常駐する医師が身体状態を考慮した上で、トリートメントを受けることができます。

ブリストルキャンサーヘルプセンターは、がん患者さんに向けた24時間の無料電話相談が開設されていて、いつでもがん患者さんの相談に対応します。常に、がん患者さんに対して最大のサポートをする体制が整えられています。

最後に、私の方から質問をさせていただきました。
「私はイギリスのIFA認定スクール(旧アロマテラピーアソシエイツ、現Vivat Holistic Training)で学び、アロマセラピストの資格を取りました。これから日本で、がん患者さんにアロマテラピーマッサージを行うことを希望しています。長年、がん患者さんに接してこられて、がん患者さんにアロマテラピーマッサージを導入されていますが、がん患者さんにアロママッサージを行っても安全ですか? 」

念のため、もう一度聞きました。
「本当に、アロマテラピーはがん患者さんに安全ですか?」

「Absolutely」 (絶対に安全です)
そして、大きなハグをしてくださいました。
「あなたが必要とすれば、私はいつでも日本に行きますよ。」
と仰って、また大きなハグをしてくださいました。
とても温かくて、大きく包まれるような安心感を感じました。

がん患者さんへのアロマトリートメントは、一般の方へのトリートメントと非常に異なります。
そのため、専門的な知識と技術が必要なことは言うまでもありません。
医学に基づいた代替補完療法としてのアロマテラピーの知識と技術、がん患者へのアロマケア訓練を受けたアロマセラピストによる施術は非常に有効であると、看護師として長年、がん患者さんのケアに携われてこられたスー・ボイドさんが明確にしてくださったことで、それまで抱いていたがん患者さんへのアロマに対する疑問や不安が消えました。
彼女の言葉を聞いて、これで自信をもってがん患者さんへのアロマができる、と確信しました。

その後、私は日本に帰国し、がん患者さんへのアロマテラピートリートメントを開始しました。以来、スー・ボイドさんにはお目にかかっていませんが、
彼女の確信に満ちた言葉で、最初の一歩を歩むことができたと思います。
あの時、訳も分からず、タクシーで駆けつけて本当に良かった。

ブリストル・キャンサーヘルプセンターは、その後チャールズ皇太子が支援者となり、現在も多くのがん患者さんをサポートしています。

日本にも、このような施設が出来れば良いと願いつつ、
アロマテラピーを通して、スー・ボイドさんから教わった、ガンの患者さんが自分らしい人生をお送りいただけるよう、サポートしていきたいと思います。


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