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2012-05-16 「植物状態」の患者へのアロマテラピー

長期療養型の病院でアロママッサージをしていると、植物状態に近い患者様にアロマの施術をすることがあります。

81才のSさん(女性)も、脳出血の後遺症で入院されていました。
自発的に呼吸をされていますが、話しかけても応答は全くありません。
目も完全に閉じたまま、身体を動かすこともなく、植物状態に近い状態でした。

このような患者さんにアロマを行う時は、ベッドサイドに伺うと、必ず「アロマに参りました」と伝えてご挨拶します。
もちろん返事は返ってきませんが、それは承知の上です。
もし私が患者だったら、こういう風に話しかけてもらうと嬉しいだろうな、と想像して、お話します。

オイルの準備をして、マッサージを始める前も、これからアロママッサージを始めることを伝えます。
ブランケットから腕をお出しする時も、いきなり動かすことはありません。必ず、ご本人にお伝えしながらアロママッサージを進めていきます。
腕のマッサージをする際にパジャマの袖を肘上までたぐり寄せる時、腕を優しくとってマッサージを始める時、オイルをつける時、左腕から右腕に移る時、ブランケットをかける時、腕が終わると、次は脚のアロママッサージをしましょうね、と優しく声をかけます。

私の錯覚かと思っているのですが、患者さんに話かけながらアロママッサージを繰り返していると、患者さんは私の声が聞こえていらっしゃるのではないのかしら?、と感じることが何度もありました。具体的に体が動く訳ではないのですが、心地良さを感じていらっしゃるように思えたのです。
ただ、明確なサインではないので、私の気のせいかな、、、と思っていました。

あれから長い時が過ぎましたが、2011年11月11日付 朝日新聞夕刊に、
「植物状態」でも言葉が聞こえている、という記事を見つけました。
記事を読んで、「あのときに感じたことは、気のせいではなかったのかも知れない」と思いました。

新聞記事の内容は以下の通りです。

交通事故や脳卒中で「植物状態」になった人でも意識があることが分かった。患者16人に脳波を測定する装置をつけ、言葉の指示に対する反応を調べたところ、3人(19%)が正常な人と同じ反応を示した。

脳波を検査すれば、実際には意識があるのに、永続的な植物状態にあると誤診するケースを防げるとする論文が、10日の英医学誌「ランセット(Lancet )」に発表された。携帯可能で安価な診断手法や、意識のある患者と意思疎通を可能にする技術の開発に期待がかかる。

 カナダ・ウエスタンオンタリオ大学(University of Western Ontario )の研究チームは、脳を損傷して植物状態になった患者16人と、健康な対照群12人の頭皮に脳波を測定するセンサーを装着し、脳活動に起因する電気信号を記録した。

 『自分の右手と左右のつま先を動かす場面を想像してみてください』、と告げたところ、患者16人のうち3人に、正確かつ持続的にはっきりとした脳波が検出された。実際には動かすことはできなかったものの、体の部位を動かすよう指示された時の頭頂部の電気信号は、制御信号と完全に一致していた。

 論文は、この実験だけでこれら3人の患者の「内面世界」に関する結論を導き出すことはできないとしながらも、指示を理解し、脳内で処理する作業は持続的な注意力を要し、正しい答えを選択し言語を理解するなど、複雑だと付記した。

以上が朝日新聞に掲載された新聞記事です。

より簡単に説明すると、
人間は体を動かす時に、脳から神経の信号を送って、筋肉を動かします。
脳からの信号が筋肉に伝わることにより、筋肉が収縮して、それによって体が動きます。

ウエスタンオンタリオ大学の研究チームは、
植物状態の患者さんに、『自分の右手と左右のつま先を動かす場面を想像してみてください』、と声をかけました。
植物状態の患者さんは、その言葉に対して全く反応しない人と、その言葉を聞いて反応した人がいて、16人の患者さんのうち、3人は脳から、正確かつ持続的な信号が検出されました。
ということは、植物状態の3人の患者さんは、研究チームの発した言葉を聞いて(理解して)、自分の右手と左右のつま先を動かそうと、脳から信号を送っていた、ということです。

実際は、神経に何らかの障害があるため、神経が筋肉に伝わることができずに、体を動かすことはできなかったものの、神経の信号が検出されたということで、植物状態の患者さん3人が、研究チームの話しかけた言葉を聞くことができた、ということが言えるということです。

日頃から、植物状態の方に接する機会のある人にとって、こちらからの言葉を聞こえている、という研究結果は素晴らしいと思います。

365日、ベッドの上で身動きすることもできず、話すことも食べることもできずに眠っていらっしゃる患者さんに、アロマテラピーを通して、少しでも緊張を和らげて、QOLを高めることができるように、お声掛けも含めて、心を込めたアロマトリートメントを提供していきたいと思います。


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