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2011-10-28 重症の拘縮とアロママッサージ

重度の脳梗塞後遺症で、両手両足をほとんど動かすことのできない患者さんは大勢いらっしゃいます。

Nさんも、脳梗塞の後遺症で10年以上寝たきりです。
Nさんは、今まで2度倒れられて、最初は左側が麻痺になり、2回目で右側も麻痺になり、今では両手両足が完全麻痺で、両手は関節で曲がったまま、動かすこともできません。

マッサージをしていると、時々、表情が変わったり、急に腕が動くことがありますので、奥様に、「Nさんは何か仰りたいのでしょうね」と言うと、奥様は、「お医者様は、(主人は)何も感じないと仰っていました。」、とお話されていました。
Nさんが動かそうとしているのではなく、無意識によるもので、Nさん自身は何も感じないそうです。

患者さんの奥様は、「ただ、お風呂に入っている時、主人はお話することがあると、介護士さんが仰っていたんですけど、」、ともおっしゃっていました。
奥様はご主人がお話されたところを見たことはないそうです。
私は、Nさんがお話されるのは、お風呂に入って気持ちが良いことと関係があるのかな、と思いました。

Nさんにアロマトリートメントをして2か月経った頃、マッサージしていると、普段は曲がったままの手が、その日は少し柔らかく感じられて、関節を伸展するマッサージもスムーズでした。
「今日は調子がいいのかも知れない」と思い、普段よりも色々と話かけてみました。
「マッサージは気持ちいいですか」とか、見られていた時代劇のテレビについて「○○は面白いですね」とか。。

すると、それまで無表情だったNさんが、私が話しかけるたびに、笑顔を見せてくださったのです。それまで、一度も笑顔を見たことがなかったので嬉しい驚きでした。

それから数週間後のある日、急に寒くなった日でした。寒いためか、Nさんの曲がった指の関節も普段よりも硬くて、ほぐすのにずいぶん時間がかかりました。ようやく温まってきた頃に、突然、何かお話を始められました。「あー、あー」という意味は分からない会話でしたが、私はNさんが何かおっしゃっているように思いました。

この2回の経験で、Nさんが何かを感じていらっしゃるのでは、という私の予感は確信へと変わりました。体を動かせなくても、表情が変わらなくても、何か感じていらっしゃると思いました。何を仰っているか理解できると良いのですが、それは私の心でしか聞くことができないのかもしれません。

拘縮の手は、最初は第1指以外は完全に握り占めた状態でしたが、最近は第2関節はほぼ伸びてきました。ただ、手の平の関節がとても硬いので、限界はあると思いますが、それでも拘縮の手が少しでも楽になればと祈る気持ちと、Nさんに心地良く感じていただくことを願いながらマッサージしていて、私の気持ちが通じたのかもしれない、と、少しだけ嬉しくなりました。

体を全く動かせないのは辛いことだと思います。Nさんの苦痛を少しでも軽減できるよう、これからも心を込めてアロママッサージを行っていきたいと思います。


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