山田祐子 高齢者ケア施設でのリフレクソロジーの症例 

高齢者ケア施設でのリフレクソロジーの症例
山田 祐子

山田さんは、ベイリースクール卒業後、高齢者施設で働いてリフレクソロジーを実践しました。初めの頃は様々な困難もありましたが、実践と信頼を通してたくさんの方にリフレクソロジーを理解していただき、多くの経験を重ねることができました。その一例をご紹介します。

このレポートは、リフレクソロジスト兼ケアワーカーとして勤務した高齢者施設でのリフレクソロジーの症例です。
施設の形態: デイサービス
1日平均45名利用、ショートステイ 21床。
トリートメントを行った場所は、施設内のトリートメント用の6畳程度の静かな個室。
トリートメントの回数は、一日平均 6~8名。1年間67名、男性36名、女性31名。
トリートメントの進め方は基本的にベイリースクールで行うケーススタディー(症例課題)と同じ要領で行いました。

【トリートメントの概要】

1) クライアントに対してトリートメントの説 明をする。注意点は、
(1)クライアントが高齢者、障害者の方であるため、説明はわかりやすく簡潔にする。
(2)声は大きめにゆっくりと。
(3)あくまでリラックスしていただくことが目的で、治療ではないということをしっかり伝える。
2) トリートメントの所要時間は、通常フルトリートメントは両足で40分程度。各自の状態により調整する。
3) トリートメントを受けていただく回数と間隔 は、週1回×6週

【トリートメントを行う上での注意点】

対象者が高齢者、障害者になるため、事前に各自の身体状況を必ず確認(病歴、後遺症、感染症の有無等)し、圧の強さ、時間のかけ過ぎに注意して様子を見ながら慎重に行った。

【症例 NHさん(65歳、男性)】

既往症: 2001年脳出血
後遺症: 左半身片麻痺(杖使用)
現在の身体状態: 左半身麻痺し、普段杖を使用しているが、杖がなくても歩行可能。
その他の症状: 便秘、不眠(入眠・中途覚醒、  熟睡した感じがしない)、痺れ(左足先強い)、浮腫(左足裏、足背~下腿後側)
確認事項: ペースメーカー、コンタクトレンズ
注意事項: 圧の強さ、時間のかけ過ぎに注意し、声がけしながら様子をみて行う。
趾間の患部(水虫)には触れないようにする。

【初回のトリートメント 4月28日】

施術前の状態: 足裏を触れられるのは初めてということで、少し緊張されているような半信半疑の様子。
施術前の足の状態: 全体的に角質が厚く白っぽく、本来の健康な皮膚が隠れてしまっている状態。
施術中の様子: リラックスされている様子で、 ずっと目を閉じ、静かにされていた。
施術後の様子: 足の状態: 強い冷えがあった 左足が多少温かく変化している。右足は施術前と変わらなく温かい。
心身の状態: 表情は穏やかで、緊張がとれた様子。にこやかで、口数が多くなっている。
感想: 今までリハビリ等で痛い思いはしたが、 こんなに優しく足を触ってもらったのは初めて。圧は弱いが、気持ち良く、不思議な感じがする。体がポカポカ温かく感じる。
アドバイス: 初回のため、施術後の起こりえる 反応に関して、簡単に再確認をした。
注意点: 今まで見たこともない足裏の皮膚の 状態で一瞬驚いたが、今後皮膚の変化も注意して観察していく。

施術2回目、3回目は特に変化が見られず。

【施術4回目 5月24日】

前回からの変化: 良く眠れるようになり、体の疲れが軽くなっている。眠れることで気持ちも前向きに変化している。両足の踵の角質が硬くなっている。剥離部分もきれいな皮膚に変化しつつある。
施術前の状態: 前日に遠出をして、普段より長い時間歩いたため、疲れて左膝に痛みを感じる。
施術前の足の状態: 両足とも火照っている。
施術中の様子: お疲れの様子で、施術開始後すぐ いびきをかいて眠っていた。
施術後の様子: 火照りは消え、逆に、右足の踵、 左足の指先と踵が冷えている。
心身の状態: 短時間だが熟睡されたようでスッキリした様子。顔色が少し赤っぽく変化している。
感想: 熟睡感が得られるようになり、体調が良くなっている。施術後は、足全体が軽く歩きやすい。次回が楽しみになっている。

【施術6回目 6月4日】

前回からの変化: 両足の踵の角質がきれいになっている。角質の剥離部分も、きれいな皮膚に変化しかけている。皮膚の色は赤みが少し引いている。便秘は1週間に1回から、1週間に2、3回に改善されている。
施術前の状態: 顔色も良く、表情も明るく元気な様子。左膝の痛みは続いている。
施術中の様子: 途中までおしゃべりされていたが、左足に移る辺りから眠っていた。
施術後の状態: 冷たかった左足が施術前より 少し温かくなっている。心身がスッキリした様子。

【6週間続けた感想】

・施術後は必ず全身が温かく感じ、とにかく足が軽く感じる。
・受ける前は半信半疑だったが、こんなに心身が変化していくとは思いもしなかった。
・気持ちも前向きになり、もしかしたら麻痺している左半身も動くようになるかも?と思ったくらい。あとは、左膝の痛みが消えてくれたら・・。 今後も続けていくことを希望される。

【NHさんのまとめ】

・皮膚の変化に関しては、施術者である私自身も驚くほどの改善ぶりだった。
・角質部分を、お風呂で軽石などを使用し、こすったりしたか?と質問したところ、「何もしていない」との回答で、リフレクソロジーによる効果の現われがハッキリ実感でき大変嬉しく思った。
・左足の痺れ、浮腫に関しては大きな変化はみられなかった。
・便秘に関しては、1週間に1回から2、3回という程度に変化がみられた。

【実際に起こったリフレクソロジーのリアクション】

・帰宅後、強い眠気に襲われ、普段より早い時間 に寝た。
・トリートメント中、胃腸の蠕動運動が活発になる(お腹がゴロゴロ鳴り出す)。
・施術後、すぐに尿意・便意を感じる。
・あくびが頻繁に出た。
・施術中からゲップが頻繁に出だした。
・施術中、寒気がした。
・ 施術後、全身または足に火照りを感じ た。(普段は足が冷たいが、施術後は 布団から足を出して寝た、という人もいた)

≪印象に残ったクライアントの言葉≫
【60代男性 脳梗塞で左片麻痺】

麻痺側が全く感覚がなく、手足は存在していても血液が通っていない感じがしていたが、リフレクソロジーを受けると、まだ血流が流れていることを実感できる。諦めていた気持ちが前向きになり、生きる意欲が湧いてきた。

【70代男性 脳出血・狭心症 後遺症なし】

圧は弱く、初めは物足りなく感じたが、何回か繰り返しているうちに、子守唄を聞いているような、
とても心地よい感じがあるようになった。起きている時と眠っている時の中間を彷徨って いるような、不思議な感覚がする。

【70代女性 脳梗塞で右片麻痺】

今までリハビリ治療などで痛い思いばかりしてきたが、こんなに気持ちの良い思いができるなんて思ってもみなかった。足は汚いというイメージが強く、その足を優しく触ってもらえるなんて 考えてもみなかった。

高齢者施設の現状とリフレクソロジーの可能性

・女性の方が前向きで元気な方が多く、トリートメントに関しても積極的だと感じた。一方、男性で障害を抱えている方は定年直後に発病した方が多く、精神的にも落ち込み、表情も硬く、うつむき加減の方が多かったように思った。そのため、こちらから声をかけなければ自分から要望される方は少なかったように思った。
・普段から不安や孤独感を抱えている方に対しては、リラックスすることで心の緊張もほぐれ、 精神的に安定するように感じた。
・スキンシップを図ることで心が開かれ、悩みなどを口にすることでストレス解消につながると思う。
・リフレクソロジーは身体的にも精神的にも有用な効果が期待できるため、病気によって引き起こされる様々な身体的な問題や、不安や孤独感などから生じる精神的な問題を抱える高齢者にとって、心身に及ぼす影響は大きいと実感した。
・今後世の中に、補完代替療法としてのリフレクソロジーが広く浸透する時代が来ることを強く願っている。

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